SPECIAL

2018.06.15 SPECIAL

「画業15周年突破 漫画家・水上悟志 徹底解剖ナイト!」
オフィシャルレポート

超話題のTVアニメシリーズ『プラネット・ウィズ』の初回放送が迫る2018年6月15日(金)、原作・シリーズ構成・ネーム(脚本原案)・キャラクター原案を担当する漫画家の水上悟志さんをゲストに招いたトークイベント「画業15周年突破 漫画家・水上悟志 徹底解剖ナイト!」が、阿佐ヶ谷ロフトAにて全3部構成で開催された。

第1部

第1部「水上悟志の軌跡」。ゲストには今回の主役である漫画家の水上悟志さん、水上さんの担当編集を経験している少年画報社の須見武広さんと安達亜未さん、本イベントの司会進行を務めるアニメライターの小林治さんが登壇した。

スクリーンに映し出された自らの年表を見た水上さんが、「働いているなぁ」と思わず呟くと、客席からは早くも笑いが起こった。
早速、デビュー前の水上さんの持ち込みを少年画報社が一度断っていたという裏話も飛び出し、話は水上さんの漫画家デビューの経緯へ。デビュー当時、少年画報社の漫画雑誌『ヤングキングアワーズ』で連載されていた作品の原稿の上がりが皆一様に遅く困っていたところ、水上さんが描くアクションの構図に惚れ込んだ須見さんの推薦で、新人にして異例の5ヵ月連続読み切りを任された逸話が明かされた。
その後、読者からの評判も高かったため遂に初の連載作品『散人左道』がスタート。「読み切りはすんなり通ったのに連載はボツがしばらく続いて、胃が荒れるくらい大変だった」と水上さんは連載デビュー前の苦闘を振り返った。
さらに、デビュー以来一度も締め切りに遅れたことがないと褒められた水上さんが「そんなに大したことですか?」と聞くと、須見さんは「大したことなんだよ。この業界では」と答え、またも大きな笑いが客席から起こる一幕も。

続いて、地元の大阪から東京に引っ越すことになったきっかけの連載作品『惑星のさみだれ』の話に。同い年の担当編集だった安達さんは「私が入社3年目、水上さんもデビュー3年目。同じキャリアだったので気兼ねなく忌憚のない意見を言い合えたと思います」と語ると、水上さんが「大体いつも『HUNTER×HUNTER』(「週刊少年ジャンプ」連載作品)についてね(笑)」と返し、場内からはまたも大きな笑いが。そして話は水上さんの絵について移り、自分の絵に対してコンプレックスがある水上さんは「常に眼の方が手より技術が上。入力の方が達者で出力の方が下手だから、絶対に自分が描いた絵は満足できないんですよ。どれだけ上手い絵描きの人でも自分はまだまだだと言うのはそういうことなんです。その人の頭の中には何年か先の自分の絵がすでに見えているんですね」と絵描きにしか分からない感覚を語った。貴重な話に客席のファンも聞き入り、真剣な表情で深く頷いていた。

さらに、『戦国妖狐』や『スピリットサークル』など水上さんの代表作について様々な話が飛び出し、いよいよ待ちに待った『プラネット・ウィズ』の話へ。まずは『プラネット・ウィズ』の準備のため、前述2作の連載を2016年5月に終わらせ、空白の1年の間に1,074ページにも及ぶネームを作成。ネームを描いている間、水上さんは基本を学び直すためデッサン教室に通っていたことを明かし、客席からは驚きの声が上がった。そして、2017年に発表され各所で絶賛された読み切り「虚無をゆく」を収録した単行本『水上悟志短編集「放浪世界」』は、2018年3月の「このマンガがすごい!」ランキング オトコ編第1位を獲得。そこから、優れたSF作品に贈られる「星雲賞」の話に移り、「コミック部門で過去に2作ノミネートされたんですけど、『ハガレン』(鋼の錬金術師)と『こち亀』(こちら葛飾区亀有公園前派出所)に取られました(笑)」という水上さんのコメントに、客席から大きな笑いが巻き起こった。最後は過去作の軌跡をまとめた「漫画家・水上悟志の作品PV」がスクリーンに映し出され、第1部は終了。

第2部

第2部では、水上さんと付き合いの長い漫画家の押切蓮介さんがサプライズゲストとして登壇し、お互いの作品のことを中心にトークが展開された。押切さんは「漫画家の中でも珍しく魂がこもっているんですよ。同い歳なので同じ土俵に立たされている感じがして、俺にはこれ描けないなって思います」と水上さんについて語った。一方、水上さんは「ラブコメの描き方を教わりたい。俺はラブが分かんないからラブコメが描けない」と押切さんに訴えると、「えっ、こんなにラブを描いているのに!?」と驚く押切さん。それでも水上さんは引き下がらずに「俺はいい構成を目指して描いているだけだから」と反論すると、呆れた押切さんから「何を言ってんだ」と冷たい突っ込みが飛び、まるで漫才のような二人の掛け合いに会場のお客さんも大爆笑。不毛なやり取りを見兼ねた小林さんが会場内に向けて「水上作品を読んで愛を感じたことがある人?」と聞くと、会場中の人が手を挙げる結果に。

その後も、水上さんから押切さんへの興味が止むことはなく、半ば公開質問会のような形でトークが進んでいく中、不意に押切さんが「僕たちももう40代近いですけど、モチベーションは大丈夫ですか?」と逆に質問。それに対する水上さんの「あのね、本当ダメ」という回答に、押切さんも「俺もモチベーションないの」と同意するまさかの展開に発展。ここからデビュー15周年を超えた中堅の漫画家ならではの悩みについて語り合うディープな時間に突入し、最後は水上さんが「『ハイスコア・ガール』TVアニメ化おめでとうございます。俺らが新人で燻っていた頃から比べると、今二人でこういう場で話せるのは感慨深いね。まだまだこれからだから頑張っていこう」と押切さんに伝え、第2部は終了。

第3部

第3部は、TVアニメ『プラネット・ウィズ』について。ゲストとしてバンダイナムコアーツの湯川淳プロデューサーが登壇し、公開された新作PV、企画の成り立ちや見どころについて語り合った。最後に、水上さんは「『プラネット・ウィズ』を宜しくお願いします。続編を望まれても絶対できないくらい、1クールで完璧に完結させました」と力強く語り、漫画家・水上悟志についてのトークイベントは幕を閉じた。

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